Shall we dance?

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「ほら、受付済ませるぞ」 「あぁ…」 彼を熱い視線で見つめる周りの人た ち。本当に俺なんかで良かったのだろうか。 少し気後れしながら、先を行く彼に ついていく。 「遅いぞハル。ほら、お前の花。 つけてやるからこっちこい」 パーティーに出る生徒は受付で花をそれ ぞれ貰うらしい。手招きする彼に甘える。 彼がしゃがむと顔が思いの外近くにきた。 一瞬、肩を竦ませる。 (うをぉぉ、近い近い!) 「ほら、出来た」 1人で悶々としている俺を尻目に彼はすぐに 身を離した。目線を下げれば俺の胸元が 赤い薔薇で飾られている。 「…アリガト」 ダメだ。普段と場所も格好も違うせいか 調子が狂う。 ふと目の前に手が差し出された。 顔を上げると、優しく笑った彼の顔にかち 合う。 「さ、お手を。お嬢さん」 「…なんで今日はノリノリなの」 お前のせいでさっきから心臓が悪い音を 立ててるんですが。 「そういえばさぁ、」 「どうした、ハル」 胸の悪い音の原因ともなっている 1番気になってることを彼に問う。 「なんで今日はハルなの?いつもハルなん て呼ばないじゃん」 「春樹だとすぐバレるだろうが」 だからなんで俺ってバレたくないのよ。 あぁ、こんな平凡野郎と付き合ってると 思われたくないからですね、分かります。 …切ねーわ。馬鹿野郎。 -
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