Shall we dance?

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… 陽介にエスコートされながら会場へと足を 踏み入れる。 色とりどりのドレス。華やぐ、浮き足 だった雰囲気がホールを満たしていた。 そして好奇の視線が俺を襲う。俺は それから避けるように俯きがちに歩いた。 「ちょ。こわいこわいこわい!」 「気にするな」 そう言って、俺の体を守るようにきゅっと 自分の方に寄せる。 なんだか今日の陽介はとんでもなく ジェントルマンだ。 (陽介くんだ。隣にいるの誰? 見たことない子だね。知ってる? ううん。知らない。) 小さい囁き声のはずなのに、すごく 明瞭に耳に入ってくる。 (僕のが可愛いよ。陽介くんやっぱり かっこいいなぁ。珍しいね。 僕、陽介先輩に断られたのに。誰? でもさ。なに?案外さ、けっこう… お似合いじゃない?) 「え」 「どうかしたか」 「…いや。なんでも」 「なんだよ。急に笑顔になって」 「なんでもないってば」 お似合いだって。聞きました? 「あ、分かった。やっと飯食えるか ら嬉しいんだろ」 「陽介が日頃の俺をどう見てるか よく分かったよ」 そんな食い意地はった覚えはあり ません。 ふと時計を見れば、もうダンスパー ティ ーが始まる時間になっていた。 -
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