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「わわわわ、ごめんね!
陽介ごめんね?!」
申し訳なさと罪悪感で、俺は手を
伸ばそうか伸ばさまいか迷う。
「…かった」
彼が何か呟いた。
「なに?」
「…春樹が無事でほんと良かった」
今度は、ちゃんと聞こえたよ。
あぁ…なるほど。何回も見てきたヒーロー
に助けられるヒロインたち。バカみたいに
胸をときめかせて単純だなぁ、と笑った
けれど、ごめんなさい。
俺もたいがい単純でした。
俺の彼氏がこんなに格好よくて
良いんでしょうか。
淑女たちごめんよ。俺が彼を独り占めに
しちゃって。もっと似合う人が居るだろう
にね。ごめんよ。でももう、意地でも
離したくないんです。
…
暗い夜道を二人で歩く。
寝ている間にすっかり暗くなって
しまっていた。俺、どんだけ寝てたのよ。
「あぁ、良かった。陽介は女装した俺が
好きなわけじゃないんだね。ありのままの
俺がすきなんだね。…お前、俺が言うのも
なんだけど趣味おかしいぞ」
「うるせぇよ」
「…なぁ、まじで俺でいいわけ?」
「春樹、が、良い」
「お前、恥ずかしい奴だな…」
これだからイケメンは。
じゃあ、と陽介が俺に聞く。
「お前は俺のどこが好きになったんだ」
「顔」
「「………」」
end
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