素直になれる5秒前2

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「どっからか落っこちる夢でも見てるのか」 ふっ、と笑って彼が言った。 聞いたことがない、柔らかい声。 心臓が違う意味で悪い音をたてる。 (キャラ違くないですか?!) 「…有村、頼むから起きるなよ」 頼むから、と繰り返す。 少しの間。 僕の髪の毛に何かが触れた。 恐る恐る、という感じにゆっくり。 まるで壊れやすい硝子細工に触るようで もどかしくなる。 優しく僕の髪を梳く手は、大きくて あったかい。心地よくて本当に眠って しまいそうだ。 「…いつも嫌味ばっか言って悪いな。 アレは実は本音じゃない」 え? 「こう…面と向かうと自然と何故か嫌味 しか出てこないんだ。自分でも手を焼いて る。いつもあの後、1人で後悔してるんだ。 もっと優しい言葉をかけるつもりだった のに、って」 (なんだ。嫌われてたわけじゃないんだ) よかった… 驚くほどにホッとしている自分。 だって、僕はこの人に認められたい 一心でここまで登り詰めたのだ。 -
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