狼と犬って紙一重2

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*** 馨と別れた観月は、校舎の中へと 入っていった。階段を上って、どん どん上へとあがっていく。 やっと薄暗い空間の中に、扉のある場所 まで来た。屋上だ。 一般には解放されておらず鍵がかかって いる。観月はポケットの中に手を突っ込む と何かを取り出した。 ジャラジャラと音を立てるそれは鍵の束。 その一つを鍵穴に差し込むとカチリという 音がする。 ドアノブを捻ると、風がすり抜け光が 漏れ空がひらける。 観月は眩しそうに目を細め、足を踏み 出した。後ろ手にドアを閉める。 「あれ、平凡くん」 突然、声が降りかかった。先客が 居たようだ。上を観月は仰ぎ見る。 「…鶴見会計」 赤みのない茶色に染められた彼の髪 が舞う。 面白がるように、観月に問うた。 「鶴見のどっちだと思う?」 「弟」 観月は間髪もいれずに答える。 彼は満足そうに笑った。 「せいかーい」 -
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