狼と犬って紙一重2

4/7
前へ
/310ページ
次へ
屋上のそのまた上。 学校の全体が見渡せる。 観月の横に寝転んだ鶴見はそういえば、と。 「ここ、鍵かかってたでしょ」 「…かかってませんでしたよ?」 小首を傾げてしらばっくれる。 「思ってたけど。君、なんだか胡散臭い」 「そんなこと」 「食堂の時、馨に水を掛けさしたのは 君だろ」 腕を引っ張るとこ見たんだ。 「…気のせいですよ。どうして僕が 馨くんに水を掛けさせるんですか」 「あの場から早く逃げたかったから」 「なるほど」 気のない相槌をうつ観月。 「ま、どっちでもいいか。君がどういう人 かなんて」 「そうですね」 「僕は跡継ぎじゃないし」 「なにか?」 鶴見会計が呟くように言ったが、聞こえ なかったのか観月は聞き返す。 「いや、なにも。君はずっとここに 居る気なの?」 「終了15分前になったら行きますよ」 「…まだ1時間以上残ってるんだけど。 どれだけ図太いの、君」 -
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加