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世間話をしたりクイズゲームをしたり
どこからか取り出した双眼鏡で
成り行きを見て時間を潰す観月。
やっと『残り15分になりましたー!』
という放送が入ると、急にホッとした顔を
した鶴見会計に挨拶して観月は屋上を出た。
そろそろと階段を下りる。廊下を見回した
が、鬼らしき人影はない。また階段を
下り始めた。ここまでで8分経過。
あと7分。
そして、2階に降り立った。
「…み…ま…!」
何やら声とともに足音が近付いてくる。
どんどん音も大きくなって声もはっきり
聞こえた。
「待てーッ!小宮山ー!」
「誰が待つかーッ!」
観月は溜め息を吐く。
「どこまでも迷惑な子だな」
彼らは階段を登ってくる。ついに観月も
見つかった。
「お、観月じゃんか!どこ行ってたんだよ」
世間話している場合ではない。
「…うん。それより、逃げよっか」
小宮山の後ろにはそれはそれは必死の
形相をした鬼がたくさんいるのだから。
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