狼と犬って紙一重2

5/7
前へ
/310ページ
次へ
世間話をしたりクイズゲームをしたり どこからか取り出した双眼鏡で 成り行きを見て時間を潰す観月。 やっと『残り15分になりましたー!』 という放送が入ると、急にホッとした顔を した鶴見会計に挨拶して観月は屋上を出た。 そろそろと階段を下りる。廊下を見回した が、鬼らしき人影はない。また階段を 下り始めた。ここまでで8分経過。 あと7分。 そして、2階に降り立った。 「…み…ま…!」 何やら声とともに足音が近付いてくる。 どんどん音も大きくなって声もはっきり 聞こえた。 「待てーッ!小宮山ー!」 「誰が待つかーッ!」 観月は溜め息を吐く。 「どこまでも迷惑な子だな」 彼らは階段を登ってくる。ついに観月も 見つかった。 「お、観月じゃんか!どこ行ってたんだよ」 世間話している場合ではない。 「…うん。それより、逃げよっか」 小宮山の後ろにはそれはそれは必死の 形相をした鬼がたくさんいるのだから。 -
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加