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「っ、ハッ、ハッ」
「おい!頑張れよ観月!」
廊下を走ること、100メートル。
渡り廊下が見えてきたところで、観月が
早くもバテ始めた。
「捕まり、たくは、ないっ」
観月の負けず嫌いの性分が顔を出す。
しかし鬼の魔の手はすぐそこまで。
「良い、かげん、諦めろーッ!」
観月のハチマキを鬼の手が掠る。
鬼がラストスパートをかけた時
小宮山が誰かを見つけて叫んだ。
「馨だ!」
自ずと視線は小宮山が見る方へ。
彼は手を広げて、誰かを待ち受けている。
小宮山は顔を輝かせた。
ーそんな彼の目の前を誰かが横切る。
手すりから、なんの躊躇もなく飛び降り
たのは。
「おい、観月?!」
小宮山は手を伸ばすが届かない。
観月の手に巻かれたハチマキがするすると
解け、風にさらわれる。
「なん…で」
鬼たちですら見守るなか、観月は馨の胸に
勢い良くダイブした。
『鬼ごっこ終了ー!』
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