狼と犬って紙一重2

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「っ、ハッ、ハッ」 「おい!頑張れよ観月!」 廊下を走ること、100メートル。 渡り廊下が見えてきたところで、観月が 早くもバテ始めた。 「捕まり、たくは、ないっ」 観月の負けず嫌いの性分が顔を出す。 しかし鬼の魔の手はすぐそこまで。 「良い、かげん、諦めろーッ!」 観月のハチマキを鬼の手が掠る。 鬼がラストスパートをかけた時 小宮山が誰かを見つけて叫んだ。 「馨だ!」 自ずと視線は小宮山が見る方へ。 彼は手を広げて、誰かを待ち受けている。 小宮山は顔を輝かせた。 ーそんな彼の目の前を誰かが横切る。 手すりから、なんの躊躇もなく飛び降り たのは。 「おい、観月?!」 小宮山は手を伸ばすが届かない。 観月の手に巻かれたハチマキがするすると 解け、風にさらわれる。 「なん…で」 鬼たちですら見守るなか、観月は馨の胸に 勢い良くダイブした。 『鬼ごっこ終了ー!』 -
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