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ー獰猛な光を放つ目から目が離せない。
壁に押し付けられてるくせに
余裕綽々といった様子で、彼は
駄目押しの一言を放った。
「お前、俺のこと好きだろ」
思わず舌打ちがでる。クソ野郎め。
「…そうだよ、悪いか」
1人で他の役員の書類をこなしていた
こいつは、そりゃあもう弱ってて。
漬け込むなら今だと思ったんだけども。
それは俺の見当違いだった。
…お前はそんなに弱くない。
「遅いんだよ、馬鹿野郎」
挑戦的に彼は言い放つ。
それが、合図となった。
彼の後頭部に手を回して、自分の方に
グッと寄せ、唇が合わさったらすぐに
口をこじ開け舌を絡ませる。
目なんか瞑ろうとしなかった。
色気なんかどこにもなくて。
なにやってんだ、俺たち。
喘ぎ声なんだか呻き声なんだかを
緩んだ口の端しから漏らす彼と俺。
「失礼しまーす。」
声と共に、扉が開いた。
ーバッ!
「ゴホッ、ゲホッ」「ッ、ゲホッ」
「…なにやってんすか」
咳き込む俺たちに、
怪訝そうな視線を向ける。
「ノックしろ!馬鹿野郎!」
入ってきた、生意気で空気を読めない
俺の後輩を叱りつけた。
「貴方が遅いから迎えに来たのに
その言い草はないでしょう
何なさってたんです?喧嘩はいけませんよ」
「いやぁ…そっちの委員長様が
お盛んみたいで」
ケラケラと、あいつは笑った。
「すみません、いつもの事です。
ほら、帰りますよ」
副委員長に引きづられながら
"間宮"に吠える。
「21時、俺の部屋来いっ!」
「望むところだ」
笑うあいつの机にはまだまだ山積みに
なっている書類が置かれていた。
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