停電2

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「城山って兄弟いるの?」 「…いや、居ないけど」 なんでこの時に嘘をついたのか自分でも 分からない。だけどあながち間違っては いないと思う。 俺は彼を一度だって、兄だと思ったことは ないし。 … 「なんだよ城山。また朝帰りか。 朝飯いる時は連絡しろって言ってるだろ まったく…」 部屋に戻ると、同室の大和が朝飯を作って 待っていた。口うるさいが面倒見のよい オカン気質の彼にはお世話になっている。 「悪い、忘れてた」 言いながら椅子に座った。 「お前さぁ。もうちょっと落ち着けたら どうなの」 「どういうこと」 「一人と付き合えってことだよ」 それは… 「無理」 「即答ってどういうことだ。努力しろ」 「無理なもんは無理なんだよ」 本命はいる。しかし、これは倫理的な 問題として。 「つか、倫理的ってなんだ?」 「 人として守り行うべき道のことだろ。 道徳とかモラルとか」 「良く分かんねぇよ、バカ」 「お前がバカなんだよ」 -
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