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何気無く時計を確認する。
本を読みはじめてから3時間経っていた。
(って、3時間?!)
残念なことに夜に用事が入っている。
外は秋とはいえ、暗くなり始めていた。
「ごめん、いっちゃん!もう帰るね!」
「え、」
慌ててパーカーを羽織って荷物を手に取る。
まったく俺は、何しに来たのか。
結局、いっちゃんにまともに触ることも
出来ずに彼の家を後にした。
…
バイトを終え、歩いて帰途につく、ある夜。
(今日は一段とカップルが多かったなぁ)
自然と出てくるいっちゃんの顔。
仏頂面で愛想がないけど、なんだかんだ
いって可愛い、俺の恋人。
(会いたい。あー…めっちゃ会いたい)
でも、会いに行った、あの時の顔。
「…やっぱ、想いの温度差がある気が
してならない」
電話掛けるのも、会いに行くのも
何するにも全部俺からだ。
告白したのも、全部。
そんな思いをこじらせて
『じゃあ、試しに俺からなんの行動も
起こさないようにしよう!』と、決心して
みた。
その結果、一ヶ月なんの連絡も取ってない
状況。…なんてこった。
いっちゃんにとって、俺は必要ないのか。
俺はめちゃくちゃ必要なんですが。
「いっちゃんが足りない…」
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