I am a lazy 2

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わがまま言うのは苦手だ。甘えるのも。 察してくれよ。無理か。宮田だし。 そんなことを考えていると、授業終了の チャイムが鳴った。席を立つ生徒。 カタカタと振動で机が鳴る。 今日はもう不貞寝しよ。 そう思って、立ち上がった。 「福原会長」 呼ばれた。 声につられてドアの方を見る。 「…宮田?」 授業終わった瞬間だぞ。 ちゃんと授業受けてたのかよ。 怪訝に思ってると、焦れたのかズカズカと 教室に入ってくる。 「花火大会、行くんでしょ」 「…あ」 何かと思えば斜め下に視線を固定してそう 言った。俺の鞄を背負うと、腕を掴み歩き 出す。そして決まり悪そうに後ろ髪を かいた。 人混み苦手って言ってたくせに。 俺のためか。そうだよな。 「宮田」 猫背の背中に話しかける。 「…なに」 彼は前を向いたまま返事をした。 「なんで視線合わせないんだよ。こっち 見てくれなきゃ俺がどんだけ嬉しそうな 顔してるか分からないだろうが」 ほら。にやけんのがとまらない俺の顔を 見ろよ。めちゃくちゃ幸せなんだよ、いま。 「もう…なにそれかわいい」 end
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