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「秋さん、おはよう!」
「展、おはよう」
半袖から覗く細い腕が今日も眩しい。
パタパタと小走りに俺の横に来た。
俺のことを「秋さん」と呼ぶ彼は
ニコニコと笑いながら喋り始める。
「もう朝は寒いね!もう、鳥肌立っちゃう
よ。あれ?…なんでアキさんは長袖なの?
ニットも着てるし」
俺を不思議そうに見た後、周りを見渡す。
そしてあることに気付いた。
「ありゃ…みんな長袖だ」
こてん、と首を傾げる。
俺はそんな彼に微笑んだ。
「今日から、冬服に完全移行なんだよ
展さん」
「え、そうなの?!」
「何回もなんかいも先生言ってたよ」
「嘘だぁ」
「展さん、1番前のど真ん中だよね?」
俺の恋人は天然です。
***
「うぉ、あったかい!ありがとっ」
もう部屋に着替えに行く時間がなかった
ので俺の長袖ニットを彼に着させた。
ぬくぬくと幸せそうな顔をする。
肩からずり落ちそうな俺のニット。
「やっぱり俺のじゃデカイなぁ」
「うん。ダバダバ」
余った手の裾を振る。
うん、可愛い。本当に食べちゃいたい。
目に入れても痛くない。萌え袖とかもう
ごちそうさまです。
「今日はそれで我慢しなね」
堪らず頭に手を乗せてわしゃわしゃした。
ふわっふわの猫っ毛。
首を竦めて、鈴の音みたいに笑う。
そして一言。
「ふへへへ。秋さんの匂い」
俺に会心の一撃。3000のダメージ。
俺の恋人は天使のように可愛いです。
end
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