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「初めまして、親衛隊隊長に
なりました篠塚礼央です。」
あぁ、またか。
そう思った。
「顔しか取り柄がない奴ね。」
僕が嫌味を言ったのに何故か、礼央と
名乗った彼は穏やかに笑っただけだった。
その後、たった一言だけ。
「僕は貴方を絶対に裏切りません。」
なんでだか、心の奥が震えたような
気がした。
…変な奴。
それが少し変わった親衛隊隊長との出会い。
「唯様、コーヒーです。」
「あぁ。」
ことり、と置かれたカップ。
礼央は他の生徒会役員にも淹れたようで
そちらに配りに行った。
親衛隊が生徒会室に入ることは稀だが
もう、この光景は馴染んでいる。
礼央の人柄からだろう。
コーヒーを口に運んだ。…いつも通り
美味い。たぶん、スプーン一杯半の
砂糖と三杯のミルク。そういえば、あいつ
は一度も聞いてきたことがない。
なんで知ってるのだろう。
「副会長、これにサイン!」
「あ、はいはーい。」
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