美女が野獣

2/5
前へ
/310ページ
次へ
「宗(しゅう)、いちごミルクだったよね?」 声と共に項(うなじ)に当てられた湿った 冷たいもの。全身を粟立てて驚いて振り向 けば、色素の薄い髪を長く伸ばした美少女 がこちらに向かって悪戯っ子のように無邪 気に笑っていた。 「…社(やしろ)。普通に渡せよ」 「これした時の宗のリアクションが可愛い からつい」 はい、と見慣れたデザインの紙パックを 渡された。 「…可愛いとか言うな」 「夜の宗は特に可愛い」 「下ネタじゃねぇか」 俺より高い位置の社の頭を叩くとスパン と良い音を立てた。 「ふへへ」 痛がるどころかにやけるので気持ち悪くて 2歩ほど横移動する。ふと社のスカートが 風ではためくのを横目で捉えた。 「…下着は流石に、か」 「女物じゃはみでるからね…俺のサイズ じゃ、」「下ネタじゃねぇか!」 さて。このぱっちり二重の美少女然とした 社は、実は異様なまでに女子制服を着こな す立派な立派な男の子なのである。 ちなみに女装は趣味とのことだ。 「社さん!今日もキレイっす!」 「滾ります!」 すれ違うたびに視線だけでなく賞賛を投げ かけられる社は、微笑みと共に軽く手を振 る。何その上品な挨拶。皇后か。 「それで何の話してたっけ?今日の夜の 営みについてだっけ?」 「してねぇよ」 そして腑に落ちないのが、夜の営みにおい て俺が下で彼が上ということだった。 -
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加