美女が野獣

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「俺の前でしか、そういう可愛いところ 見せちゃダメだからね」 それでも甘やかすのだ、この男は。 もう嫌だって言いたくなるくらいに。 砂糖菓子にハチミツをかけるくらいに俺を 骨の髄まで甘やかすのが好きなのだ。 「男はギャップに弱いんだからさ」 それはお前だってそうだろう。 「…社だって、俺にだけ格好良いところ 見してれば良いよ」 あぁ、ほら。俺を見る野獣のような瞳を 見ろよ。見惚れるくらい綺麗だろう。 彼のこんな格好良いのは俺だけが知ってい ればいいのだ。可愛らしい一面だけを彼ら は見ていればいいのだ。彼がいつも買うい ちごミルクと缶コーヒーは、いちごミルク の方が俺のためなんてこと知らなくて 良いのだ。 「今度買い物行こうか」 「いいな。冬物欲しいんだ」 「女装しないのとするのどっちが良い?」 「して」 間髪入れずに言った。 「なんで?」 予想外の答えだったのか聞き返される。 「だって社が女装してれば手を繋いでても 変に思われないじゃないか」 「きゃー。俺の彼氏超かわいい」 顔を両手で隠す彼。耳が少し赤くなって いるのを見て「あぁ、俺は愛されてるな」 とそう思う。 end
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