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「…今度、俺の家来てみるか」
「え?!良いの?」
「暫く帰ってねぇしな」
「行きたい!俺、吉田の兄弟見てみたかっ
たんだ」
いつもの様子を取り戻した彼にホッとした。
「ねぇねぇ、寒いから早く帰ろうよ。
おしるこ食べたい!」
お前が言い出したんだろ、と呆れながらも
彼に振り回されるのはもう慣れている。
「はいはい」
手が繋がっているのに、ぐいぐいと歩くから
ポケットから出た。引きづられながら歩く。
外の空気に触れてちょうど良いくらいに
すっかりお互いの手は温まっていた。
~オマケ~
『今日ね、吉田と初詣行って来たんだよ』
「へぇ。どうだった?」
新年の挨拶にと鈴村からかかってきた電話。
しかしその挨拶は「あけおめ!」の一言で
終わり、あとはだらだらと雑談になった。
話の内容はほとんどが吉田の話で。
『俺が手が寒いって言ったら、手ぇ繋いで
ポケットに入れてくれたの。優男だよね!
あと、今度家に連れてってくれるらしいん
だけど青山も行こうよ』
…さて俺はどっから突っ込めば良いのか。
まぁ、まず。
「ご両親の挨拶は、まず第一印象が大事だ
からな。服とか選んでやるからしっかり
やれよ」
『…?うん、ありがとう』
(お前ら良い加減もどかしいんだよ!)
end
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