純情labyrinth

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さて、何でこんなことになっているかというと俺は西原の2人でこの学校で『よろず屋』をやっているからだ。廊下に設置された箱に依頼が書かれた紙が入れられ、その頼みを叶えることが主な活動。失くし物を探して欲しい、恋人が浮気してるか探って欲しい…などなど。依頼は様々で、平凡な日々に飽き飽きしていた俺は、なんだかんだワクワクとしたこの非日常を楽しんでいるのだけど…。 「どうすんだよ。暖房もないこんな冷えきったコンクリートの倉庫で。いま2月だぞ」 「まぁまぁ。体操用マットもあるし、ほら毛布も…一枚だがあったよ。2人で暖を取ればどうにかなるんじゃないかな」 西原は普段は眼鏡を光らせ冷たい印象を与える端正な顔を緩ませ弾んだ声でそう言った。こいつ、自分のせいでこうなったのにこの状況を楽しんでやがる。温室育ちのはずなのに、なんだかんだで図太いのだ。 「楡くん、早く来たまえ。寒いじゃないか」 くっそ偉そうに!西原は積み上げられたマットの上で早々と鼻まで毛布を引き上げ体育座りで包まっている。俺は溜め息を吐き、自分を無理矢理納得させて埃っぽいマットの上へと移動した。 -
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