純情labyrinth

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毛布はあまり長くなく、肩をピッタリ合わせても十分には足りない。どうしたものかと考えあぐねていると西原が一つ提案した。 「やはりこう、向き合って寝るのが効率的だと思うな。接着面も多い分、あったかいだろうし」 真面目な顔で俺を仰ぐ。ふむふむなるほど。俺と西原が抱き合いながら一晩過ごせということか。…正直、てめぇこの野郎こっちの気も知らないでと半ギレしたいところである。悶々としている俺を意に介さず「このままじゃ寝苦しいな」とネクタイに手を掛け始めている。細くて長い指によってキッチリ優等生らしく隙なく締められているネクタイが解かれ第二ボタンまで外した。優雅なその動きに見惚れ、そして晒される白い首元に目を奪われる。全く目に毒だ。無防備すぎる。終いにはベルトも取ろうとしているらしくカチャカチャと毛布の中から音がした。肘が当たる。 「君も服を緩めるといい。楽になるよ」 西原が俺を見た。急いで視線を逸らす。 「わ、わかってるよ」 やらしい目で見てたことを悟られていないかとヒヤヒヤしながら、誤魔化すように西原と同じように寝やすい格好へ変える。俺が寝る準備を終えるのを見ると、彼はもぞもぞとマットの上へ寝そべった。 -
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