おめでとうこざいました

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「あ、てめぇ。ターリヤ!脱ぐなら脱衣所行けって言ってんだろ!」 部屋の掃除をしていたターリヤは、汗を吸った麻のシャツを俺の目の前で脱ぎ始めた。そして視界に映るのは、白くて華奢な…平らな胸板。そう。俺が引き取った子どもは、なんと男だったのだ。確かにあいつはこの子どもが『女』だと言ったことは一度としてなかった。騙された、と気付いたのは引き取ってから3日目のことだった。思い出しただけで胸が痛い。 「良いじゃないですか別に」 「俺に現実を見させないでくれ」 「?はぁ…」 成長期のこの弟子は、どんどん大きくなり筋肉もついてきた。声変わりした時はなんかもう死ぬほど惜しんだものだ。15歳になったターリヤは、美しさこそ健在だがもう男にしか見えなかった。あぁ、8歳くらいで時が止まれば良かったのに。あの頃が全盛期だった。俺はロリコンじゃあないが、美しく愛らしいものは愛でるべきであろう。何度誘拐されそうになったことか。 「師匠、この頃煙草吸い過ぎですよ。一日3本って言ったでしょう」 「うるせぇ。お前は俺の妻か」 「弟子です」 全く可愛気のないやつだ。口煩いし。やっぱ弟子なんて取らなきゃ良かった。絶賛後悔中である。なにが楽しくて野郎と二人暮らしをしていなければならないのか。おちおち女も連れ込めない。 -
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