おめでとうこざいました

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「ターリヤ。今日夕飯要らねぇから。ちよっと出てくる」 この頃、ギルドの支社の方から異動になってきた上司との軋轢で憤懣が募っていた。憂さ晴らしに大人の社会場にでも行くか。この頃ご無沙汰だったし。 「…え、今日はいるんじゃないんですか」 「別に良いだろ。予定変更だ」 「大事な用なんですか」 なんだか今日はえらくしつこい。苛立ち混じりに答える。 「あぁ、そうだよ。お前といる間に溜まったストレス解消のな」 干渉されるのは嫌いだ。黙りこんだターリヤを置いて外出用の上着を手に取って、羽織りながら外に出た。 *** 「…俺もさぁ、言い過ぎちまったなぁってさぁ、反省してんだよ。どう思ったかなぁ、あいつ。以外と繊細なとこあんだよなぁ。でもよぉ、あいつ俺のこと嫌いなんじゃねぇかなぁって思うんだ。冷てぇし、俺と話ししててもクスリとも笑わねぇんだぜ?ならここで手放すのがあいつのためになるんじゃねぇかなぁとも思うんだけど、でもやっぱ手放したくねぇんだよぉ。なんてったってターリヤの瞳はさぁ…」 カウンターで葡萄酒を片手に、うだうだと喋り続けるヤルマを、隣に座って話を聞いていたハックが辟易した顔で後を続けた。 -
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