I'm all thumbs.2

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「春田くーん、オレのLINE欲しいんだって~?」 胸糞悪い声がしたと思ったら、ニヤニヤと腹立つ顔をした廣瀬が立っていた。 「…いらん」 「あれ、おかしいなぁ。ハナにそう言われたんだけど」 「煩い。とにかくいらん」 振り切って歩き出すが横に並んで話しかけてくる。なんで俺も緊張してたとはいえ、よりによって廣瀬の名前を出してしまったのか。 「ハナのこと好きなんだ」 「……」 「あげないよ、あれは俺の」 なんだって?聞き捨てならない言葉を聞いて思わず立ち止まった。 「花山が、誰のだって?」 聞き返す。廣瀬は「だ、か、らぁ」と一つ一つの音をゆっくり発音しながら俺の鼻先まで詰め寄った。 「俺のだって言ってんの。ハナは。だってハナはさ、俺のことが好きだから。春田くんは出番なし。というわけで、さっさと諦めて、ね?」 たいへん魅力的な、舞降りた王子と揶揄される笑顔と悪魔的な言葉を残して、廣瀬は満足気に去っていった。 そうか花山は廣瀬のことが好きなのか。少なからずショックを受ける。 -
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