I'm all thumbs.2

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…だけど。 「諦めたら何も始まらねぇよな」 可能性が0%じゃないなら、俺はそんな簡単に断念しない。花山に確認しなきゃ本当かどうかは分からねぇし。残念でしたね廣瀬くん。余裕ぶっこいて悠長に見ているだけなら、横からかっさらっていくだけだ。 *** 「花山、今週の日曜ヒマ?映画のチケット余ってんだけどさ」 花山の映画の好みはリサーチ済み。完璧な計画を立てて意気込んだのだが。 「え!あ…あーごめん、廣瀬と先に行く約束しちゃってて」 申し訳なさそうに断られた。廣瀬に先を越されるとは不覚。高笑いする奴が目に浮かんだ。 「も、もしあれじゃ俺も一緒に良いか?チケット勿体無いし」 苦し紛れに食い下がる。俺の申し出に花山の表情は一瞬、曇った。良心がチクリと痛む。そうだよな。せっかく二人っきりなんだもんな。 「うん、全然良いよ。廣瀬にも言っとく」 それでも花山はすぐに笑顔でそう言ってくれた。 「まじ?じゃあLINEでグループ作っといてもらえる?」 「分かった。また連絡するよ」 よし。これで廣瀬が当日下痢とかになれば完璧だ。 -
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