I'm all thumbs.2

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… 「お前さ、空気読めないの?」 「賞味期限切れのシュークリームでも食べて腹壊せば良かったのに」 待ち合わせ場所。15分前。来ていたのは花山ではなく廣瀬だった。罵り合いをして時間を過ごす。しかしいっこうに花山は現れない。事故にあったのではないかと不安になってきた頃、LINEの着信音が鳴った。 「あ、花山からLINE」 俺は文面を見て愕然とする。 『ごめん!急に熱出ちゃったから2人で楽しんできて』 「まじかよ…」 こいつと2人で映画を観に行けと?新手の拷問に近い。廣瀬は何か察したように「あぁ」と呟いた。 「これは気を使われたパターンだな」 「なにに気を使ったんだよ」 「お前俺のことが好きだって花山に思われてるだろ」 「……あ」 そうか。そういえばLINEを聞くとき花山は誤解しているような言い方だった。たぶん花山を通して廣瀬のLINEをゲットしようとする輩は今までいっぱいいたはずで。俺もその中の一人だと、花山に思われていてもしょうがない。 「うわ…なにそれ死にたい」 花山の私服見るのものすごく楽しみにしていたのに。写メたくさん撮ろうと思っていたのに。 「ま、今日は解散だな。お前と2人で映画なんて死んでも嫌だ」 「その言葉そっくり返したい」 早く誤解を解こうと心に誓った。 -
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