白線よりお下がりよ

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友だちとして、風太はとてもいい奴だった。趣味も音楽やら本やらとにかく合う。聴いたもの読んだものの感想やあらすじを言い合うのは時間を忘れるくらい楽しかった。そして風太はクールに見えて面倒見は良いし、何事も器用にこなす。男でも思わず見惚れる無駄のない動き。風太は自慢の友だちだ。この学校に入って良かったことを聞かれれば、間違いなく風太に出会えたことと答える。絶対にこいつとは一生の友だちになれると思っていた。 「合コンでどっちが多く女子から連絡先貰えるか勝負な」 「負けたら?」 「んー。学食で昼一回奢り!」 「これは負けられねぇな」 名門私立高校とあって、学食は最初見たとき目玉が飛び出すかと思ったほど高い。庶民の俺たちは普段学食を利用しないのだ。 「可愛い子くる?」 「桜ヶ丘高校」 「レベル高くて有名なとこじゃん!俄然やる気出てきた」 風太は格好良いが、俺だって顔は悪くない方だ。風太が男前で俺はイケメンと言うと分かりやすいかもしれない。 「やっぱ柔らかいほうが良いよなぁ」 胡座をかいた風太の太ももに頭を乗せながら呟くと「じゃあ退けよ」と返ってくる。 「…いや、これはこれで癖になるもんなんですよ」 慣れって怖いという話。 -
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