目下努力中なのです

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そんな返事をした日の、もう帰ろうという時のこと。資料をまとめ、ケースに入れている俺に委員長が近づいてきた。俺の机まで来るなんて、全く俺は何をしでかしたかと体を強張らせる。上背のある委員長が座った状態ではなく立った状態で間近にいると圧がすごい。 「おい」 「な、なにかまた粗相をしましたでしょうか…?」 今日は怒られることもなくノーミスで出来たと思っていたのに。しかし身構えた俺の予想を裏切り、口から出たのは怒号ではなかった。 「生徒会、手伝いに行くのか」 「…え?あ、はい」 「篠田の推薦か」 「そうです」 委員長は篠田先輩に目をやる。俺だったら蛇に睨まれたなんとやら状態必至のところ、当の篠田先輩は肩を竦めたと思ったらなんと委員長に笑って返した。 「くそ、あいつ…っ」 舌打ちが聞こえ震え上がる。もうやだ怖い。短く切られた赤っぽい髪も目つきの悪い瞳も怖い要素しかない。絶対知らない子どもに泣かれた経験があるはずだ。 「あ、あの…?」 「…精々、足を引っ張らないようにな」 そう言うと彼は自分の机に戻っていく。 なんだ。結局嫌味か。俺は「頑張ります」と少し強気で答えた。まだ一度も褒められたことなどない。こうなったら、やはり生徒会に寝返ってやろうか、などと俺は本気で考え始めていた。 -
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