目下努力中なのです

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… 「これやったのだれ?」 「あ、俺です。何か問題ありました?」 「ううん。すごく見やすくて驚いたよ。優秀だね」 「ありがとうございます!」 生徒会に手伝いにきた俺は、待遇の違いに驚かされていた。怒号は飛び交わないし皆さん優しいしソファはふかふかだし紅茶とお菓子は美味しいし。やっぱりここが楽園だったのだ。 「風紀の子はみんな出来が良いけど、君は特別優秀だ。さぞ委員長に可愛がられているんだろう?」 副会長は、どことなく篠田先輩に似ている。でも目は完全に笑ってはいなくて、底の見えない人だと思った。今もそういう目をしている。 「はぁ…可愛がられてるんだか煙たがれているんだか分かんないです」 「富士見くんは吸収が早いから教えがいがあるんだよ。…ついつい構いたくなる」 副会長の指が俺の頬を撫でた。突然のことで、しかもそういったことに慣れていない俺の顔はボッと熱くなり、わたわたと見苦しいほど慌ててしまう。 「な、なななにを」 「しかも、反応が可愛いとくれば尚更だよね」 副会長のお綺麗な顔がすぐ近くに。男でも思わず見惚れてしまう。睫毛が長くて鳶色の瞳は吸い込まれそうだ。 「澤村副会長。僕の後輩をいじめないでもらえるかな?」 ベリッと俺らを離し間に入ってくれたのは篠田先輩だった。俺は安堵の息を吐く。 -
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