おまけ

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「うん、まぁそうなんだけど…」 角や耳や尻尾もとてもリアルな作りになっている。服装も違和感はない。だが、しかし。吉田と鈴村には同じ気持ちを共有していた。 「春樹と気合の入れよう違くない?」 そう。春樹はというものの、ブロンドの質のいいウイッグに、黒いカチューシャ。水色のワンピースと白いレースのエプロンをつけたアリススタイル。足が細いからか白いタイツがまた綺麗に似合う。黒いバレエシューズが可憐さをより演出していた。メイクも念入りに、西洋人形のような欠点のない容姿に仕上がっている。 「星斗は案外顔整ってるし、お前ら面白くないんだよ。だけど、見ろ春樹を。本当料理しがいがあるよな」 「貶されてる気がするけど、でもまぁよし!良い仕事しますね陽介くん」 こんな子いたら俺惚れちゃう、と鏡を見て春樹が呟いた。 「ほんとそれな」 「おう。お世辞じゃなく可愛い」 鈴村と吉田が揃って頷くと、陽介がバッと春樹を引き寄せ2人を威嚇。 「俺の!」 「ハッ。顔だけ男が調子乗んな」 一年近く経った今でも、どうやらその言葉は尾を引いているらしい。陽介は見る間に威勢を失わせた。 「…うるせぇ。吉田のポテンシャルと比べんな…」 「よ、陽介!元気出せよ。お前は顔だけじゃない…体つきもほどよい筋肉で見惚れるくらい格好良いし、…」 「春樹ストップ。それは傷抉ってる。だが、その話詳しく聞かせてもらおう」 end
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