コンビニ店員

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「っさいませ~」 言い慣れた風の店員の挨拶が、来店を知らせる音とともに店内に響いた。ここはコンビニ飯塚学園店。この閉鎖的な学園では数多くの店が軒を連ねている。店員はほとんど生徒だ。そのため開店は放課後16:30から、閉店は朝の8:00という他ではない時間帯での営業となる。 ーよって、フルタイムで開店している唯一のこのコンビニでは様々なお客さんがやってくるのだ。これはそんなコンビニで働く店員さんたちのお話。 * 「いらっしゃいませ!ただ今唐揚げ揚げたてで~す」 初々しい元気な声でお客を迎えるのは新人の樋口。時間は17時。開店したばかりの店内には多くの生徒がやってくる。入ったばかりの彼はてんてこまいだ。 「樋口、落ち着いてけ~」 「はいっ」 先輩の玉置が横を通った際に声をかけるが、肩には力が入ったまま。玉置は他にやることがあり、フォローが出来ない。ズラリと並んだレジを待つ人にまた焦ってしまう。「早くしろよ」と並んでいる人たちの苛々とした声や空気が彼を襲った。 そして、恐縮しきっているところに、更に追い打ちがきた。派手な髪色、着崩された制服。学年は違うがそれでも顔は知ってるほどの素行が悪いことで有名な、赤城斗真。鋭い視線が樋口を射抜く。 -
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