嘘つきめ

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「いつ、戻ってきたの?」 「高等部から。」 「…全然分からなかった。 おかえりなさい。」 「ただ…いま。」 なんだか涙が零れた。 久し振りだね、幸夜。 俺は、中等部の途中に 休学届を出して学園から消えた。 理由は、いろいろ。 大きくなったなぁ、幸夜。 昔はお姫様みたいだったのに。 「のんが居なくなってから 透は人が変わったよ。」 「噂は聞いてる。 俺様何様透様、だっけ?」 「…透がしたことまだ、怒ってる?」 「そもそも怒ってなんかないよ。 …恐かっただけ。 いつか捨てられるなら 自分から離れたかったから。 俺は、ズルいかな?」 一生なんて、絶対にない。 怒った?傷付いた? 違う、ただただ不安だったんだ。 「透に貴方のことを伝るよ。 …良いよね?」 「ッ…嫌だっ!」 いつか捨てられる。 こんな取り柄のない俺は。 「のん…」 悲しそうな顔をした 幸夜をおいて、また俺は走り出した。 何か、逃げてばっか。 -
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