譲れない。

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ものの数分で食べ終えた彼は ゴロンとソファーに寝転んだ。 「おい、そんなとこで寝るなよ」 「…なんか気が抜けた。襲うか?」 「病人みてぇなやつを襲う趣味は無い」 …俺は、実はとても後悔していた。 何故、もっと早く彼に手を 差し伸べなかったのか。 ここまで弱るまでなんで俺はほっといた? 今から早急に手立てを打とう。 俺はこいつの恋人だ。 もう、遠慮はいらないだろうから。 スースーと、穏やかな寝息をたてる彼の 髪を撫でる。 「…頑張ったな」 彼が元気になるまで手を出すまい。 …制服姿のまま寝てしまった 彼の服を着替えさせる時その決意が揺らぐ。 (我慢だ、我慢だ俺…!) 「…俺が絶対タチになってやる」 意外と軽い彼の体をベットに運ぶ時も 決意にまたもやヒビが入った。 (色気ただ漏れじゃねぇかこのクソ野郎) …夜中に目を覚ました間宮はソファーに 寝ている"菅沢"の側に寄り口付けを落とす。 硬めの黒髪を手で何度か梳いた。 「ありがとな」 眠気に勝てなかった間宮はまた、静かに ベットに潜る。 早く本調子に戻らねば。 「…ふふん。今回手ぇ出さなかったこと 後悔すんじゃねぇぞ」 (「「タチは絶対譲らない!」」) end
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