繋いだ手

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「副会長、挨拶お願いします。」 「うん。」 ー今日は、新入生オリエンテーションだ。 初めて俺と彼らは顔を合わせる。 あぁ、初々しいなぁ。 微笑ましく思いながら ステージの中央に立った。 「はじめまして。 副会長を務めさせて頂いています 白川 奏(しらかわ かなた)で、 "ガタンッ!"…す?」 何やらすごい音がした。 見渡すと、1人の生徒が 立ち上がっている。 「知り合いか?」 既に挨拶を終えた会長が 小さい声で俺に聞いた。 「…俺は知らない子だな。」 「ふーん。」 立ったままの彼は、座ろうとせず 黙って俺を見ている。 周りのざわめきを気にしようともしない。 ーあれからもう、一年半か。 なんで…お前がここにいるんだ。 ゆき。 落ち着け、俺。 足が震える。 今すぐにでも逃げ出したい。 「…き、緊張せず、楽しい 高校生活を送ってください。」 「お前が緊張してんぞ。」 「…うるさい。」 やっと忘れられると思ってたのに。 なんでだよ、今更。 -
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