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それから数日。
あれから、一度もあいつと
会っていない。
そりゃあ、もう終わった恋だ。
あいつに未練があるなんて
思ってはいなかったのに。
…どうやら、俺は
少し期待していたらしい。
あの時あんなことしたから。
くそ、どれだけあいつは
俺の心を弄べは気が済むのか。
書類を書きながら
溜め息をつく。
「奏、これ風紀まで。」
「…了解。」
会長から渡された書類を
手にして、生徒会室から出た。
「ねぇねぇ~。
今日、部屋行ってもいい?」
「…あぁ?」
廊下を歩いていると
そんな会話が聞こえてくる。
なんだ、こんな時間から
盛りやがって。
その声はどんどん近付いて
くるから、こちらに
向かってきているようだ。
曲がり角に差し掛かり
その会話の主を見てやろうと
目を光らせる。
「ね、良いでしょぉ?
"ゆきくん"。」
…その名前と共に見慣れた
顔が飛び込んできた。
ぷらす、腕に巻きつく
可愛い男の子。
「あ!副会長様!」
「…ッし、」
ほうほう。
入学数日でモテモテのようで。
「…あぁ、こんにちは。」
そう言って
すぐさま俺は走りだす。
あいつは、追って来なかった。
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