繋いだ手

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「かなた、かなたッ! 一年がなんか奏が原因で騒ぎ 起こしたらしいよ!」 「…は?」 ーその事件の内容は、 どうやら、俺のことを 『抱きたい』、『ヤりたい』 などなど思春期男子 ありがちな下世話な話を していた連中がいた、と。 そしてそこに、一人の男子生徒が現われ 何故か怒り狂って乱闘騒ぎに発展。 そして、結局風紀が出動中する事態に…。 今、その男子生徒は 風紀委員室で取り調べ中。 「それでね!その男の子の 名前は…えっと、そう!」 「「平岡 雪」」 声が被ったことに 会計の景都は怪訝な顔をした。 「え?知り合い?」 「…ちょっと、出る。」 「へ? い、いってらっしゃい!」 俺は生徒会室を飛び出した。 なぁ、ゆき。 一回だけ、チャンスを与えてやる。 いいか、もう次は無いぞ。 バンッ!! 風紀委員室にいた生徒が 一斉にこちらを向いた。 「ふ、副会長?」 「すいません、今 取り調べ中で…っ」 そんな制止を無視して 取り調べ室の扉を開ける。 「何やってんだよ。 …馬鹿ゆき。」 腫れた目をした彼に思わず、笑った。 そんな情けない顔初めて見るよ。 その後すぐに俺は 懐かしい匂いと温もりに包まれる。 「ッしろ、ごめん。 今更、遅いかもしれないけど 好きだ、すごい好きだ。 俺、いっぱい しろに話さなきゃいけない。 ガキだったんだ、あん時。 いろいろ、上手くなりたかったし、 欲ばっか溜まって、しろに 負担かけたくなくて、だから、」 「…もういいってば。」 お互い、言葉が足りなかったね。 「ごめん、ごめん。 ずっと、しろのことが好きだ。 本当に、本当に。」 (あぁ、やっと。 その言葉だけが欲しかった。) end
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