あの幸せをもう一度2

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ー…僕は長い夢を見た。 その夢の中では僕は"カルディオ"と 呼ばれていた。 どこかの国の王子らしい。 そして、僕の必ず近くには一人の男がいた。 僕はその夢の中でたくさん裏切られたが 彼だけは僕を裏切らず、ずっと 側に居てくれた。 最期は、僕を庇って死んで しまったんだけど。 そして、頭に残る彼の口癖 『上に立つ者は庶民の 見本でなくてはならない』 『貴方を絶対に 裏切らない』 ーそうか、君だったのか。 僕の柱となっていたのは。 やっとわかった。 これは、僕の前世なのだと。 ふと、この言葉を最近 聞いた気がすることに気が付いた。 『僕は貴方を絶対に 裏切りません。』 そうだ、親衛隊隊長の 新任の時にそう彼は言った。 礼央は前世を覚えていた。 …そうか、彼は僕を通してカルディオを 見ていたのだ。 ライバルは自分か。 「…、い、…さ、唯様ッ!」 パチ。 僕を呼ぶ声で目を覚ました。 「…マーシャ。」 夢の中の、彼の名前。 そう呼んだ瞬間 温かい水滴が降ってきた。 -
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