あの幸せをもう一度2

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「思い、出されたのですか。」 彼は泣いている。 悔しかった。 僕はカルディオに勝ててない。 「…夢を見た。 僕はある国の王子だった。」 「私は貴方の側近でした。」 彼は微笑み 懐かしそうに、遠くを見た 「けど、今は違う。」 強く言う。 「僕は唯だ。 お前も、礼央だ。」 だから 「僕を、見ろ。」 僕の言葉に大きな瞳を また零れるくらい見開いて 僕を見ている。 「…今の僕じゃあ カルディオに勝てない かもしれない。努力する。 だから、いつかで良い。」 「ごめんなさい。 無意識に、貴方を傷付けて しまっていたんですね。」 悔しそうに目を伏せる。 いったん、言葉を切った。 「それでも言わせて下さい。 …私は貴方を、ずっと お慕い申し上げております。 昔も、今も。」 彼と目が合った。 そのまま静かに距離が 縮まる。 「…貴方の悪い癖は 無理しすぎることです。」 「では、お前の悪いところは 小言が多いことだね。」 いつか、前世なんて関係なく 君と笑いあえたら良い。 僕の為に死んだ彼が またそうして死んでいく んじゃないかと、怖いんだ。 (あの幸せを今度は ずっと感じていたいから。) end
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