こちら、放送局。

4/5

691人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
苦労性side 『皆さん、こんばんはー! 放送はコンがお送りします。』 「こんばんは、コン。」 …あぁ、なんて癒される!! もう日にちはとっくに 変わっているのにもかかわらず 書類に追われる俺。 一週間その繰り返しで 金曜のコンのラジオのおかげで また来週も頑張ろうと思える。 彼の声は耳触りがとてもいい。 邪魔をせず、ゆっくりと 心に沁みていく声だ。 『次は、P.N苦労性さん!』 (あ、) 「…また読んでくれた。」 コンに送られる手紙の数は 凄いものだと思う。 その中から少ない数が選ばれて 読まれる仕組みなんだけど。 この頃は毎週俺のは読まれていた。 『えーっと、「俺は朝は必ず コーヒーを飲みますが、コンさんは 何か必ず飲むものはありますか?」 へぇ、苦労性さんはコーヒーが 好きなんだね! 僕は朝は必ず牛乳でーす。』 「…頑張ってる俺への 神様の贈り物かね。」 そうか、コンは牛乳か…。 新しく知った彼の情報に 嬉しくなった。 好きなものは、肉じゃがと 甘いものとハンバーグ。 嫌いなものは、辛いものと ブロッコリーとしいたけ。 読書と音楽を聴くのが趣味。 俺がコンについて知ってるのは たったこれだけだ。 …学園で彼を探すのは これだけの情報じゃ、たぶん 絶対無理だろう。 でも、 (いつか会ってみたい。) …そんなある日。 休憩がてら、俺はいつも あるベンチで昼寝をすることが 日課になっている。 ふと目を覚ますと ベンチの端の方に、缶コーヒーが 置かれていた。 貼られた付箋も発見。 どうせ親衛隊かなんかだろうと 付箋を見ると、その差出人の 名前知った所で体が固まった。 『頑張れ!貴方の頑張りは きっと誰かが見てるから。 コンより』 「…う、うそだろ、」 この間の放送で、それで… わざわざ?しかも俺の名前 バレてるし、え、これ現実か? (~ッ!ますます会いたく なっちまった。) -
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加