片翼の僕ら2

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彼の横に腰を下ろす。 「どうして泣いてるんですか?」 「…あー。 たいした事じゃないんだが、」 「はい。」 「ある小説を、見たんだ。」 「はい。」 「救いようのないどうしようもなく 切ないラストだった。」 「はい。」 「…俺にできる事はないのかって 考えたのだが、やっぱり俺は無力で 何もする事は出来ない。」 (小説の話だもんなぁ、無理だよなぁ。) 彼の口が止まった。 どうやらそれが理由らしい。 「だから、泣いてたんですか?」 「自分の無力さに腹が立ったんだ。」 スン、と彼は鼻を啜った。 キュン。 (何だこの人…超可愛い!!!) ーーーーーーー 「…本当にあの時の間宮さんって 言ったらもう、天使。」 「へー!良くわからねぇ!」 「わぉ。良く分からないかぁそうかぁ。」 それから死に物狂いで あらゆる手を使えるだけ使い 親衛隊隊長という名前を手に入れた。 「そういえば碧はなんで そんな格好なんだ? 名字も違うじゃんか。」 転校生から素朴な疑問。 「…俺がジャンケンで負けた。」 「そういうこと。 同じ顔が2人も居たら面倒じゃん。」 入学式の朝、運命を決める あのジャンケン。 天は僕に味方した。 「なんだ、そんなことか!」 「うん、そだよ。 ハァ…あの時パーを出してれば。」 「月に一回変わってやってんでしょ。」 -
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