片翼の僕ら2

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「…ドウモ、始めまして。 碧の双子の弟の翠デス。」 ちぇ、愛の力ってやつか。 「今まで知らなかった。 あいつに双子の弟が居たのか。」 驚いた声だが表情は変わらない。 「一応隠してるので。」 食えない人だ。 「顔は…そっくりだな。 でも碧には眉毛に小さなホクロがある。」 「良く見てますねぇ。」 「あぁ、良く見てる。」 やっと彼は笑った。 本当に兄を愛おしそうに。 幸せもんだなぁ、兄貴は。 俺は全く気付いて貰えないですよ。 好きな人に。 『よぉ、メガネ。』 バリトンの良く通る低い声を思い出す。 図書館の閉館の一時間だけ。 ある人と俺は会う習慣がある。 「おい、お前親衛隊を生徒会室に 入れるなって何度言ったら分かるんだ。 碧!コーヒー淹れろ。」 「なんだかんだ、貴方も大事に してくれるじゃないか。」 「うっせぇ!ちょっと使えるからって いい気になってんじゃねぇぞ!」 「なってませんよ。コーヒーですね?」 ふわり、と笑いかければ 少し彼は顔を赤くした。 あーあ…気付きたくなかったんだけど。 「ミルク一つ、砂糖三つです。」 「お前の淹れるコーヒー、美味いんだ。」 『お前コーヒ淹れるの美味いな。』 「『褒めたって、何も出ませんよ。 仕事しなくて良いんですか、会長。』」 「…それ違うやつにも言われた。」 ははは。 会長は兄貴に恋をしている。 そして、俺の好きな人。 というか好きなら気づけ、バーカ。 つづく
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