君の心が満ちるまで

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…これは、確実にバレた。 俺が街でしてることも 彼は知っているんだろう。 「あの男の人、知り…合い?」 あぁ、やっぱり。 今まで作り上げてきたストイックな 風紀副委員長の姿が、彼の前でがらがらと 崩れていく。 蛇に睨まれたカエルのように 俺はその場を動けないでいた。 彼はなんの感情も瞳には灯さず 俺をただ見下ろしてる。 「…お客さん。」 もう開き直るしかなかった。 「え。」 驚愕の声をあげる向井会計。 流石に予想の斜めをいったらしい。 (ビッチで悪かったな。) 「よく…してる、の?」 「シてるって、何をですか。」 からかうように意味深に笑ってみせた。 「…う、」 少し頬を赤らめ戸惑う彼。 「ハハッ!すみません、意地悪でしたね。 …よくしてます。だいたい週4で。」 それが俺の楽しみなんです、と言うと 彼は眉に深い皺をつくった。 「ダメ、だよ。」 小さいが強い意志が篭った声が聞こえた。 「そんなこと、しちゃ。」 「どうして。」 貴方にとって俺のしてることなんか 関係ないくせに。 「…俺が、や。」 駄々っ子みたいな声音に俺は噴き出した。 まさか、彼の口からそんな言葉が 出るなんて。 -
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