君の心が満ちるまで

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「向井会計、俺のこと好きなんですか?」 「え?…好き、じゃない、よ。」 なんだ、そりゃ。 彼の真意が理解出来ない。 「…なのに、貴方は俺の唯一の楽しみを やめろって言うんですか。」 「だって嫌…だし。」 「じゃあ、俺は誰とせっくs「ちょ、!」」 風紀にあるまじき発言をしそうに なった俺を彼が止めた。 「声、大きい。」 周りを見ると、珍しい組み合わせに 興味を抱いたのか見物客が数人いるのに 初めて気付いた。 「…一般生徒は授業でしょう。 早く行きなさい!!」 『くそう、敬語萌える。』 『涎が止まらない。』 怪しげな言葉を残し、何故か息が荒い 生徒たちは走り去って行く。 呆然と、遠くなる背中を見送った。 「…取り敢えず、ダメ、なの。」 沈黙が暫く続いた後、また彼は言った。 「好きでもないのに?」 「…うん。」 「じゃあ、俺は誰とセクロスすれば 良いって言うんです。」 今度は声を抑える。 (1番大事なことだよ、死活問題。) 「そ、そういうこと…以外の、こと しよう…よ。」 「貴方と?」 彼はコクン、と頷いた。 プラトニックラブなんてくそくらえだ。 「俺の心を満たせられるわけ?」 あの事ほど、俺を満たして 興奮させるものはない。 -
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