譲れない。2

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「…お前、僧侶みたいな顔して クソ恥かしいことするよな。」 「お前だからさ。」 可笑しそうに間宮は笑う。 「ならその愛しいダーリンにタチをさせて 欲しいな。」 「残念だが、そこは譲れない。」 「本当に残念だ。」 間宮は深々と溜息を吐いた。 「そういや…名前、」 「なに?知らないとは言わせないぞ。」 知らない、とかこいつならあり得る。 「いや、流石に知ってる。 …2人ん時だけ、名前で呼んで良いか。」 「良いに決まってるだろ。」 間宮がそう言うと、菅沢は躊躇いがちに 彼の名前を呼んだ。 「あお…い。」 「うん。」 「あおい。葵。あ、お、い。」 「もういい!呼びすぎだ、ひろ。」 確かめるように何度も何度も 繰り返すから、何だか恥ずかしくなった。 名前を呼ばれる度に "愛してる"、って言われてるようで。 「…俺、いまお前がすっごく可愛く 見えるんだけど。」 顔を背けた間宮の髪の間から 見える耳は、朱い。 「いつもは可愛くなくて悪かったな。」 「いつも"より"ってことだ。」 菅沢は憮然と言い放った。 「~ッ!可愛いなんて、そんな甘い事 こと言えなくしてやるからな。」 「へぇ。そりゃ、楽しみだ。」 菅沢は男くさく笑って間宮の首元に 顔をうずめた。 (「舐めた真似してんじゃねぇぞ、コラ」 「あぁ?どこ舐めて欲しいんだ、葵。」 『『葵?!』』) end
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