狼と犬って紙一重

4/9
前へ
/310ページ
次へ
自主的に生徒がどいてくれたテーブルに 座り、タッチパネルを操作する。 「海斗はなに食うんだ?」 「オムライス!観月は?」 「鯖の味噌煮定食を。」 なんかおじいちゃんみたいだな、と言う 小宮山に曖昧に笑って観月は受け流した。 数分待つと料理は運ばれてきて ウェイターさんに観月は軽く頭を下げる。 小宮山は彼の行動を意にもかいさず オムライスに手をつけた。 「美味い!」 ケチャップを口の端につけて頬張る。 海鮮ドリアを頼んだ馨は料理そっちのけで 愛おしそうに彼を見つめた。 その横で黙々と丁寧に食べ進める観月。 ーその時、食堂が揺れた。…歓声で。 「チッ、来やがった。」 馨が不愉快そうに舌打ちを漏らす。 「おーい!俺はここだぞ!」 小宮山は立ち上がり大きく手を振った。 「…鯖美味しい。」 観月は箸を進め続けた。 小宮山に気付いたある集団が、こちらに 足早に近付いて来る。 「よぉ海斗。」 「海斗!あんな危ない奴の側に居ちゃ ダメって言ったでしょう。」 「「かいー!」」 「オムライスとか可愛いねぇ。」 「…かい、と。」 観月は今度こそ箸を止め、天を仰いだ。 (日本の未来が心配だ) お帰り下さいませ、生徒会御一行様。 -
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加