狼と犬って紙一重

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観月は彼を一瞥し、ゆらりと椅子から腰を あげる。生徒会に皆の注目が集まっている のを確認すると馨の腕を小さくひいた。 途端、観月にコップの水が降り注ぐ 彼はびしょ濡れになった。 髪から水滴が落ちる。 「な、なにしてんだ馨!」 馨の突然の行動に気付いた小宮山が 驚いた声をあげた。 「…存在にイラっとしただけだ。」 彼は空になったコップを放り投げる。 コップは割れず音をたてて落ちた。 「そこ、何している!」 騒然とする現場に鋭い声がとんだ。 現れたのは伊坂風紀委員長。 「…風紀が来るほどのことじゃない。」 会長が面倒くさ気に言う。 「どうして生徒会がここにいるんだ? 上に生徒会専用の部屋があるだろう。」 メガネの下の冷たく光る目。 有無を言わさない強い声が食堂に響く。 「海斗に会いに来たんだ。 俺は何もしてねぇよ。コイツだ。」 会長は馨を指差した。 クソ野郎、と彼は呟く。 「…手が滑った。責任を持って俺が部屋に 連れて行く。問題ねぇな。」 ややこしくなる前にと思ったのか じゃあな、と馨は小宮山の腰を抱き頬に キスをする。 悲鳴がそこら中からあがった。 そしてすぐに、嫌々観月の腕を馨は掴み 2人は食堂を出ていった。 -
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