君とアバンチュール

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彼は俺の手を取り、立たせると 周りで呆然としている子分たちを 颯爽と無視して、屋上から出た。 廊下を歩きながら 彼がこちらを見ずに口を開く。 「実はさ、オレ…一時期有名に なった…ほら、知ってる?」 「…R?」 Rは、一時不良グループの テリトリーを荒らしに来た奴。 そうだ、俺のチームの奴も 何人もRにやられた。 …こいつだったのか、おい。 どうりで強いわけだ。 あの湊でさえ、そうだ、餌食に。 湊はこの学園の会長で 違うグループの総長だ。 …知ってたらやんねぇよ。 「そう、それ。 そん時見たんだよ、あんた。」 だからなんだ。 俺はRと直接やりあったことは 一度をも無い。 「めっちゃ綺麗でさ。 で、決めたんですよ。 俺のもんにしようって。」 そして、彼は俺の顔を見た。 「やっと、叶った。」 …なんでこいつはこんな格好良く 笑うんだ。 平凡顔のくせして。 -
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