狼と犬って紙一重

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「…俺は、貴方を嫌いになることは絶対に あり得ません。天地がひっくり返っても 貴方と他全員の命、どっちかが救えるなら 迷わず貴方を選ぶ。貴方の為に死にたい。 貴方に俺を殺めて欲しい。」 小さく震える気高い主人を抱き締めた。 「例え貴方が神条院でなくなっても、俺は 貴方のことをぐちゃぐちゃになりそうな程 考えて、愛しくて、死にたくなる。 汚いことも貴方が必要とするならば喜んで 俺はやるでしょう。なんだって。 好きです愛してます狂いそうなほど。 犬のごとき忠誠を、貴方に、」 「分かった、分かったよ。 …言いすぎた。後悔する、絶対。」 呆れたように彼は笑った。 「安心して下さい、ということだけ 伝えたかったんです。2人きりの時は 愛し尽くしますから。」 ーピーンポーン 「馨!観月!居るのか?! 鍵開けてくれ!」 ドンドン、と叩かれるドア。 「礼儀もなにもあったもんじゃないな。 俺が出るので、…服着てて下さい。 本当に目に毒なんで。」 待ってろ、と馨は口調を変えて玄関へと 向かっていってしまった。 観月は近くにあった彼のジャケットを 手にとり袖を通す。…大きい。 そんなことをしていると、部屋に小宮山が 無遠慮に入ってきた。 「観月、大丈夫かっ?…って、な、何だ その格好!?」 「なんだ、どうし…た。~ッ!? お、お前格好に俺の服着てんじゃねぇよ! んの、バカ!そんな格好して俺を どうする気だ!」 観月はわたわたする2人を見て 心底楽しそうに笑った。 end
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