僕のメシア

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ーコンクリート張りの壁。空気は埃っぽい。 僕たちは冷たい地べたに座らされている。 両腕を後ろ手に縛られて。 「な、なにをする気だ! 叔父さんに言いつけるぞ!!」 隣に座る彼が怒鳴る。 「君の家くらいなら、潰せはしないけど 情報を隠蔽することなら出来るさ。」 応える生徒の瞳には暗い光に満ちていた。 口元には笑みが浮かんでいる。 「大丈夫、死なせなりしない。 ただ…死にたいとは思うかもしれないけど。 君には慰めてくれる人がたっくさん居る はずでしょう?」 「い、居るに決まってるだろ!」 「…じゃあ、一つ提案だ。」 生徒会の親衛隊隊長の一人が 人差し指を立てて言った。 「これから君たちのどちらかは強姦 される。そう、どっちかだ。 …さぁ、どうしますか?」 あれだ、もしもの話で良く出るやつ。 親友と恋人、どっちを助けますか?なんて 馬鹿らしい質問だと思う。 今の場合は自分か親友か…いや親友ですら ないから、あんまり究極の質問にすら なっていない。 なら、答えは一つだろうよ。 僕たちは目を合わす事なく せーので、口を開いた。 「ほ、穂春!」「僕が。」 -
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