僕のメシア

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「本当に、指一本触られてないんだな?」 「だからそう言ってるでしょ。」 「…穂春に何かあったら あいつら殺そうかと思った。」 メガネはないし、髪も乱れてるという だけでもレアなのにそれに加え 感情を露わにしている史哉さんを見て 自らの頬を抓る生徒が続出した。 そしてやっと、これは現実だと気づく らしかった。 「…俺はもう行く。処理を頼んだ。」 史哉さんは僕の腕を掴んで立ち上がる。 副委員長は、了解というふうに手を上げて 何も彼には聞かなかった。 僕たちが閉じ込められていたのは 裏庭にある倉庫であるようだ。 外はもう暗闇に包まれていた。 僕の手を引いていた彼が急に止まる。 トン、と木に押し付けられた。 目の前には愛しい史哉さんの顔。 僕は彼の瞳に何かを感じ取る。 「え、ちょっと!こんなところで、」 夜の裏庭は、そういうスポットだ。 部屋で出来なかったり、外でスるのを 楽しむ生徒が集まる場所。 「…皆してるんだ。 俺らがやってなにが悪い。」 耳元で低く囁かれる。 物凄い開き直り発言を聞いてしまった。 「史哉さ、ンッ。」 風紀委員長のくせに!という 僕の抗議は彼の唇によって飲み込まれる。 「早く上書きしたいんだ。」 「だから何もされないってば!」 end
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