空くんと雲 …そよ風と秘密のひと時…

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ある青空の日。 今日の小さな白い雲は他の雲達とは離れて プカプカ浮いていました。 いつもなら、くじらの形をした くじら雲さんや他の大きな雲さんの陰に隠れて浮いているのに… 向こうの方で楽しそうに雲達がお話ししているが聞こえました。 でも、小さな白い雲はひとりでプカプカ浮いていました。 『小さな雲さん、ごきげんよう』 気持ち良く そよ風さんが挨拶して行きました。 『そよ風さん、ごきげんよう』と 雲もにっこり挨拶しました。 そよ風さんは立ち止まってお話しする事はありません。 だからいつもにっこり挨拶するだけです。 そよ風が通ると なんだか気持ちが良くなってウトウトお昼寝したくなりました。 向こうにいる雲達も同じです。 みんな、ウトウト始めました… ……… 『…ねぇ、雲さん』 雲を呼ぶ声が聞こえてきました。 ふと見上げたら、空君が何か小声で話し掛けてます。 『あれ?空君?』と雲が言いました。 『ちょっと いい?』と小さな声で囁くように空君が言いました。 『いいよ』と雲は答えました。 『沢山、呼んでいたの?もっと大きな声で呼べば良かったのに』と雲は付け加えました。 『いいの?』と空君はまた小さな声で聞いてきました。 『なんで?』と雲は言いました。 『だって、皆に聞こえちゃうでしょ。いいの?』と空君は言いました。 なんだか、 ふたりの秘密みたいで嬉しかった雲だけど…恥ずかしいから平気な振りをしました。 『聞こえてもいいじゃない?だって…』と雲が皆の方を見たら、 スヤスヤ、スヤスヤ… 『…ダメですね』と雲が言うと 『でしょ?』と空君が言いました。 ふたりは顔を見合わせニッコリしました。 皆が目を覚ますまで、 雲は空君とふたりで小さな声でお話ししていました。 たまに ふたりの間をそよ風さんが通り抜けました。 気持ちの良い爽やかな風でした。
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