出会い

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4月 蓮城高校の中庭で転校生の柴田彰彦は一昨日の雨で散ってしまった桜を見上げている。 今日は新入生の説明会だったが転入が始業式から、ということで新入生にまじってこの学校の説明をうけていたのだ。 学年ごとに色が違う校章で自分だけが2年ということはすぐにわかってしまう 居辛かったな…… 高2で190を越える長身は嫌でも目立ち、あちらこちらで自分の話をしてるのがわかった。 が、それもようやく終わった。1年生は今各教室で教材やなんかの配布らしい。 彰彦は説明会だけが目当てだったのだが、それだけで帰ってはつまらないと学校を見てまわっていた。 体育館を出て、中庭を通り、グラウンドに向かった。 蓮城高校は有名な進学校だった。典型的な勉強重視の高校。部活の功績なんて皆無らしい。その証拠に部活をやっている生徒は見ていないが、教室で黙々と勉強している生徒をたくさん見た。 グラウンドに着いたがやはり人はいない。風で木々が鳴る音だけが虚しく聞こえていた。 つまらないな。おおかた見回ったし、帰ろうかな。 それにしても…… これからここで2年間、勉強だけの日々か…… そんなことを考えながら自転車置き場に行った。 「あっ……」 自転車置き場につくと彰彦は鍵が無いことに気づいた。鍵は外した時はいつも鞄の中に入れるようにしているから、簡単には落ちないはずだった。 どこで…… いや、鞄を開けたのは確か説明会の時だけだ。 体育館だな…… めんどくさい、と思ったが鍵が無ければ帰れない。彰彦はしぶしぶ体育館に向かった。 体育館では教材を受け取った新入生のための体操服や校内用のスリッパ、授業用の水着の販売が行われていた。 彰彦には説明会の時の居辛さがふと浮かんでいた。 終わるまで待つかな しかし、待つと行っても体育館の前で待ってたのではやはり目立つ。かといって、校内を探索しようにも一通り回ったしまった。 どうしようかと考えていた、その時 ……なんだ? ボールの音?
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